菊地成孔×西寺郷太×松尾潔“NIGHT DIALOGUE WITH(=マイケルジャクソン話)"@HAKUJU HALLに行ってきましたよ。

晦日遊んでいたら色々取り残されたよ。アレがアレでアレだったんだー。
さて、行ってきましたよ。2009年中に書けなかった!すまん(誰に謝っているのか?)



Michael jackson 2002 Dangerous Japan High school student

ステキ高校生。そこには未来しかない。



●その1
・っつーわけで、今日も今日とてナルナル拝見。今月は3回ナルってます。「ナルってます」って表現を今思い付いたけど、えらく気持ち悪いな。
・さてさて、時代の寵児の西寺師匠がゲストですよ、兄さん。こちとらウイークエンドシャッフルとキラキラが大好物なサブカル野郎。
・ハクジュホールだって。聞いた事あるかい?オレはない。どこだよ、そこは。
・代々木公園のちょい向こう(どっちから見て?)で、歩くぜ渋谷区。
・また、キレイなホールですよ、奥さん。で、やっぱりここにもいました、タワレコ売店!そうだよ、売らないと。
・んで、「ユングサウンドトラック」を購入。もうさ、「8 1/2」が大好きなのは理解しましたから(笑)
・で、数年ごしの「大日本人」評&「しんぼる」評!!もうさ、自分はコレが正解でいいわ(笑)どっちも初日初回ですよ、こっちはさ(笑)
・座席に。最後尾!西寺先生の丸顔が見えない!別にいいけど!!



●その2
・菊地さん「自分のHPやイベントにを拝見した方はご存知かもしれませんが、”2000年問題”って話があるんですね。元々の意味は、その時代のコンピュータ関連の問題でしたが。まあ、それは幸いにして大した被害ではありませんでしたが。ノストラダムスでもそうかもしれませんが、新世紀が平和に来たと思っているんでしょう。でも、少し違っているんですよね」
・菊地さん「今、2000年問題は起こっていると。21世紀は何年からなのか?って。正式にカウントされた通りになってなるのか?本当は10年ズレてしまったとしか思えない事が多く起こっているんですね。そうとしか考えられない」
・菊地さん「今年は20世紀の最後の年だったんですね。サイレントY2K問題ってのがあるんですね。マイケルも忌野さんも森繁さんもそう。そしてマイケルジャクソンにしてもです。ここまで起こっている事件とかも見ると、あたかも20世紀が終わってしまうって事じゃないと、説明が付かない事が多すぎるんですね」
・菊地さん「アメリカでも黒人の大統領が誕生しました。彼が例の三大メジャーを助けるという話も出ています。そして、今回のMJエフェクトがありましたね。多分、興行収入がトップ近くになるでしょう。東京事変ムーンウォークをしてますし、木村カエラはbeat itを唄ってます。音楽関連で、これほど猛威を震ったんですね」
・菊地さん「本日はマイケルエフェクトという話をしてみたいと思います。松尾潔さんがゲストです!昨年はレコード大賞を貰って、今回も可能性が高い。もうね、ギャラ出さなくてもいいでしょう(笑)ギャラはMJ基金に入るかもしれません」
・菊地さん「もう一方は、この人しかいないっと、西寺さんです。今回もチケットのゲートを開いた瞬間に売切れまして。これもMJエフェクトの一つになりますね(笑)著作もバカ売れなんですよ」
ってなわけでスタート。今回はカルチャーカルチャーは間に合わなかったから、こっちにしたんです。



●その3
・ゲストのお二人登場。でも、ここからじゃあ、全然分からないなあ。まあ、いいけど。
・西寺さん「えーと、ぼくはギャラをちゃんと下さい(笑)今回の文化村公演に行かせてもらいました。感動しました」あああ、オーチャードはいい箱なんですよね。
・今回来ている客層ってどんなんだろう話。西寺さん「自分は目がいい方なんで、ここから見ますと、ノーなのファンも結構いますね」菊地さん「端的に言って、この本(新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書)を持っている人は?って事ですね。端的にはこれですよ!じゃあ、エグザイルを買った人は?なんで、こんなに上げずらそうにしているんですか(笑)」
・西寺さんのソロプロジェクトの話。詳しくは検索してみて下さい。「エキゾチックJAPAN」で。「チロルの風に誘われて」でヨーデル披露とかね。



●その4
・西寺さん「あの日の後、一週間で依頼がありまして。最初の一冊になるし、教科書を書くってことで。凄く悩んだんですね。最後まで行ききるビジョンが見えなかったんです。他の方の伝記を読んだりしたんですけど。そこで勧められたのが、菊地さんのM/Dなんですよね。これをマイケルでやればいいんだって」
・西寺さん「学校でマイケルを題材に授業をするとどうなるのか?というか、将来そうなると思うんですけど。それを想定したら?読まれたとしたら?ってビビってしまいまして。M/Dを読んで、あーこれをやればいいんだなって」
・松尾さん「アフロディズニーってタイトルが良かったので、拝借させて頂きました(笑)」菊地さん「これもまったく売れずに。M/Dもいきなり絶版ですからね(笑)」いい本なのにな。面白すぎて死にそうだけど。
・菊地さん「このマイケルクライシス。熱に浮かされた状況なんですね。だから新しい教科書も冷静には読まれないかもしれません」西寺さん「これは一気に書き上げたんですね。1日17時間を40日。5月時の話なんですけど、8月のライブ予約で、イベンターの人がミスしたんですよ。ブッキングした日が予約されててとれなくなったんです。そこで怒ってしまって。真剣に楽しみにしていましたし。でも、その後に気を取り直して、8月の終わりの振替でやったんですね。でも、その後に彼が死んでしまった。結果的に本を書く時間が取れてしまった。もし、その通りにやっていたら?ボクにとっては不思議な経験でした」
・西寺さん「この本を書く時に思った事が沢山あったんですね。みんなマイケルを知らない。知って欲しい事が数多くあったんですね。海外の本を英訳してまして、ボクも勘違いしている事が多くあった。でも、向こうの書物でも調べていると間違っている部分も多くあるんですね。原書レベルなんですけど、その時点で間違っている所が分かるんですね」



●その5
・西寺さん「マイケルジャクソンの日本版wikiってあるじゃないですか。アレってボクが書いているヤツが、そーとーパクられているんですよ(笑)自分のブログとかに書いてあったヤツなんですよ」でも、それは嬉しい事ですよね。頼れる人は日本では数人しかいないから。
・西寺さん「ランディの話があったんですね。ジャクソンファミリーが成功して、大邸宅に引っ越したんですね。上の兄弟は独立して別に住んでいたけど、末っ子のランディとかジャネットとかは、そこに住んでいたんですね。ファンがめちゃくちゃ来るんですって。お母さんも知らないから、初期は家に入れてコーヒーとか出していたんですけど、きりがないと。変な事してくるヤツもいるし」
・西寺さん「で、番犬を飼ったんですね。それにランディが噛まれてしまって(笑)自分の曲(HIPPOPOTAMUS)でその話を使ったんですね。で、ラップでしたから、語呂を合わせるために「ドーベルマンに噛まれる」ってしたんですよ。そのままwikiに書かれまして。本当はシェパードなのに(笑)そんな記述の連続で、おいおい大丈夫なのかよって(笑)俺が書くならシェパードなのにねえ」



●その6
・菊地さん「みんな、マイケルのアルバムって意外に持っていないんですよね。で、持っていないからこそ、この本を買っているんですね。だから凄く売れると思います(笑)」
・松尾さん「this is it の商品化とか、マイケルの作品の再発売のタイミングで売れると思います(笑)まあ、遺族のために買った方がいいんですよね。だって、意外とみんな持っていないんですね。いろんな人がタイプがいますから、”beat itのヴァンヘイレンのソロだけ聴きたい”ってのはそれだけ借りますでしょ。みんなそんなもんだったんですよ。」
・おなじみ「we are the world呪い」「マイケル小沢一郎同一人物説」等々をはさみつつ、LP/CD論(=メディアの変化)。これは今の時代でも該当できたり。渋谷のレコード街は壊滅していまっせ。
・西寺さん「スリラーは世界で一番売れたLP。we are the worldをCDで持っている人って何%いるのか?ジャネットはその変化に勝ったんですよ。リズムネイションの時は完全にcdに切り替わっていましたし。マイケルもその波に勝ったんですよね。デンジャラスの時に。そこに負けたのが、リッチーやプリンスであって。バットマン以降って名盤の位置から降りましたから」
年末大掃除したら、プリンスのバットマンが発掘されたよ(笑)買った覚えがないのに!



●その7
・菊地さん「マイケルエフェクトの一番と言ってもいい所がありまして。それは死んでしまって、こんなに評価された人はいないんですよ。生きている時の評価が低すぎたんですね。松尾さんのブラックミュージック史観だと、常に一流であったし、実は特別な存在ではなかったと。立場上そういうしかないのか(笑)」
・西寺さん「DJ/ダンスミュージック業界だと、一度のバカにされた事がないんですよね。でもさ、自分のバンド側だとtattoo扱いですよ(笑)」ここの部分が一番書きたかったんです。一度も邪見にされた事はなかったんです。これホントだよ。
・西寺さん「”なんで、バンド始めたの?”って聞かれて答えるとバカにされるんですよ!当時は本当に不評だったんです。ヒストリーの頃で。その時代に聴くと歪に見えたのかもしれませんけど」この後、ヒストリー論を。自分でいい意味でワガママに作った=(中2病)って話ですね。まあ、今になったらそれでもいいけどさ。
・菊地さん「それって要するに”オフ・ザ・ウォールまでは良かったんだけどね”って話ですよね」うわー、昔よく言われたわ、腹立つ(笑)



●その8
・菊地さん「それは、マイケルサーガで、ハッキリと言えるんですよね。”RUN DMCに殺された”って事ですよね」
・西寺さん「マイケルのbadのpvがあるじゃないですか。あのアルバムを作る前に、クインシーはRUN DMCとやらせたがったんですよね。でも、マイケルは違うと拒否した」
・西寺さん「で、そのpvの三人の悪い友達がいますけど、あれってRUM DMCの事なんですよ。あれは途中でカラーになって、最後は白黒に戻ってパーカーを着たマイケルが寂しそうに戻って行く。あれは彼の妄想であるって話で、ただ友人を失ってしまったと。もしかしたらですよ、あのシーンはRUN DMCにやって欲しかったのかもしれません」
・西寺さん「クインシーは何度も説得したんですよね。でも断ってしまう。”ボクは最先端に行きたい”って思いがあるならそうした方が良かったかもしれません。やっぱり、クインシーはjazzとhiphopの人なんですよね。でもマイケルは硬質なロックの方向に行きたがった。その激烈なバトルの結果が、あのBADってアルバムの本質だろうと」
なるほど、勉強になるなあ。だから大名作「ムーンウォーカー」が誕生したと(笑)硬質なロボットになるぜえ。



●その9
・菊地さん「ブラックミュージックに対する差別的な物を取り戻す=レコンキスタ的なものを、日本のヒットチャートにも入れないといけない。これって、今の時代は完全に定着しましたよね。もしくは、刷り込まれてしまった。それをしたのが松尾さんなんですから、この本を松尾さんが書いてもいいぐらいなんですよね」
・菊地さん「UAさんが、来年で15周年なんですよね。最初の情熱で朝本さんがやったんですよね。16年前。お互いにまったく仕事がなくて暇だね、とか言い合っていたんですよ。彼はその時に、責務に燃えていまして”ソウルバーで流れているような曲を、世間に送り込みたい”って。そこの席で言ってたんですよ”今、いい新人を見ているんだ。UAって名前なんですよ”って」
・菊地さん「まあ、それを聴いていた俺はこんなもんで。JAZZは貧乏暇無しって(笑)。当時は、”これは、ドンキホーテなんじゃないのか?”って思ったりもしたんですよね」
これいい話。こんな話を書いて行きたいです。



●その10
・西寺さん「そんな話ですと、俺はニルヴァーナとかレッチリと戦っていたんですよ(笑)自分は9才から唄っていたんですね。11才でマイケルのデビュー年齢を越えた時に、悔しかったんですね」
・西寺さん「21才まで、マトモにバンドが組めなかったんですよ(笑)マイケルとか、スクポリとかワムが好きって、それは技術がないと出来ませんですし。また、詳しすぎる人はそれを言うとバカにするんですよ」スクポリは4年前ぐらいに見ましたな。アレ?こんなもんかって(笑)
・西寺さん「バンドやりたくても見つからなかったんです!いるとしたらニルバーナとかレッチリが好きなヤツばっかりで!!影響されて”俺は孤独だ。俺は死にたい”とか(笑)それで、そんな連中がたくさん集まって高円寺で飲み会とかするんですよ。全然孤独じゃねーじゃん(笑)」
・西寺さん「でも、最近好きになりましたけどね。シアトルとか行って分かってきましたし」
学生時代に好きなヤツに影響されるのはよくある事。自分はAFXとかKLFで良かったな。基本キチガイだもん。



●その11
・西寺さん(かな?)「最近、ビームスに行きましたら、マイケルがガイコツになったイラストのマグカップがあったんですね。隣がカートコバーンのガイコツ。その隣がジョンレノンのガイコツで。それが、三つ並べられているってのは、凄く象徴的なんですよね。悲しい死に方をしたんですよね。ああ、ここに加わったのかあって」
・菊地さん「そこは、マーヴィンゲイじゃないと。彼もとても悲しい死に方でしたが」西寺さん「90年代にデンジャラスを押しのけたのは、ニルヴァーナでしたもんね」
・菊地さん「Dead or Aliveはいいけど、自殺するのは勘弁してくれって(笑)また、マハラジャとか行きたいじゃん。こっちはJAZZでしたから、ストリートの理論とは違っていましたけど」



●その12
・菊地さん「松尾さんは、仮想敵なものってありましたか?最上の敵がモータウンであるとか(笑)近場の的はDEENとかさ(笑)」松尾さん「競争相手はいませんよ」そう、みんな仲はいいんですよね。
・西寺さん「マイケルってのは、90年〜96年ぐらいまではヤバかった。でも、それ以降で自分が出会ったプロのエンジニアとかって、みんな尊敬しているんですよね。戦っていRのは、ストリートのユースカルチャーの人で(笑)」
・西寺さん「本当に、今年死んでしまいましたけど、その二年前ぐらいから、彼は上昇気流に入っていたんじゃないのか?もし、ツアーがあって日本に来られていたら、”MJサイコー”って状況になったかもしれない」
・菊地さん「そうですね。this is itのツアーを一回でもやったら、一気にアップセットしたかもしれませんね。でもそれは出来なかった。代わりに、この本で再インストールされたし、世間で一番浸透したブラックミュージックになったんですよね」
・菊地さん「この今の状況を作ったのは、西寺さんの活動と、この本ですよ。他に理由が見つからない」



●その13
・松尾さん「自分は、クインシーには憧れていたんですよね。最初に言葉をなくす人=最初に何かを出す人ってのは、孤独をなくしたいって思う人なんですね」
・ここら辺で、Smokey Robinsonの過小評価話。そうなんですかとしか言いようがない(笑)
・西寺さん「その事を知らないんですから、過小評価からスタートするのは仕方がない」松尾さん「でも、それは幸せな事ですよ。始めから眼中にないん状況なんですから。そこからですね」
・菊地さん「ボクもそうですよ(笑)JAZZ界も全部やられているんですよ。M/Dもマイルスの恨み節が沢山入っている(笑)だからこそ、この本を書かれた理由も分かると」でもさ、過去の対談で”Kind Of Blueの売上げを下げよう!!”って言ってましたよね(笑)



●その14
hiphop以降のブラックミュージックを体系化出来ていない論。知らん。そこは俺の仕事じゃねーもん。
・菊地さん「問題点は、殉教者かどうか。不当な差別を受けているかどうか。そこから引きずり降ろされたか?ジョンはストーカーから銃殺された。カートは自分で頭を打ち抜いた。もう一つはそのどれでもない」
・クインシーになれるか論。なれません(笑)
・菊地さん「この本には、唯一と言ってもいいですけど、ダンスの要素が入っていない」西寺さん「不思議な事にダンスしたいと思った事がないんですね。Rock With Youを一日20回と何度も聴く事によって分かってくる事はあるんですけど」
ばらぱぱぱぱらーって所でご飯何杯でも可能!



●その15
・西寺さん「マイケルも好きですけど、プリンスも同じくらい好きなんですよ。でも、プリンスと違うのは、彼を同じくらい説明する人がいなかったんですね。プリンスとマイケルとビートルズが好きってのはバカにされるんですね。でも、面白いですよね。彼はチャカカーンやドナサマーでもやっていたのに、マイケルしかないものってのがあるんですよね」
・菊地さん「この本が熱狂的に読まれているんですよね。これってのは、彼に対する喪があけていないって事なんですよ。もしかしたら、ずーっと喪があけないかもしれない。冷静に読まれて行く事がないかもしれませんね。で、そこで気付くのが、踊り=ダンスの事が書かれていないんですよね。それは西寺さんがやっていないからかもしれませんが」
・西寺さん「アフロディズニーを読ませてもらいまして。映像と音楽の差異(=「見ながら聴く事は可能か?」問題から)がありますよね。マイケルの音楽も踊る事が出来た。そこに集約されている(以下略)。彼の特異点は、非常に=もしくは人間離れしたレベルで、唄が上手かったと同時に踊りも上手かったと。と、同時に(あんまり言いたくない事かもしれないが)特徴のあるルックスだったと。彼が世に出てくる際に家庭にビデオ(vhs)が普及したと。そこにいち早く乗ったんです」
・西寺さん「その当時に、そこまでやった黒人ってのは存在しなかった。こんな話があるんですね。wizの撮影でニューヨーク(ロスかな?)に行ったんですね。まあ、そこにラトーヤがついてきて色々あるんですけど。彼女がこう言ったんです”人生の中で、映画館にて映画を観たのは、これで三回目だ”って。マイケル当人のあの知識量から考えても、あの家族の話から言っても、アレだけの量を「全て自宅で観賞」していたって事なんですね。みんな家で見ていた=ネヴァーランドの思想にも繋がってくるんですよ」
・西寺さん「当時にそんな家庭は存在しなかった。それだけ裕福になったとも言えますけど。そこで育ったからこそ、ビデオテープっての価値に気付く事が出来たんですよ。その映像と音楽を融合する事(=アフロディズニーで説明されている事象)に対する才能を持っていたんですよね」



●その16
・菊地さん「あまりにも、過剰に信仰するって事は「退化」に通じると。子供になって行くんですね(注アフロディズニー:1章参照)この本の元になった大学の講義が終わった瞬間に、マイケルが死んでしまったんですね。”ああ!!!講義で長々と話した事ってのは、結局は全てマイケルジャクソンの話じゃないのか!!”って気付いたんですね。でも、彼の話は一切していない。だから慌てて扉の最初に書いたんですね」
・菊地さん「this is it でも分かりますけど、ダンサーはマイケルの事はバカにはしていない。これと類似したケースで、hiphopでもマイケルの事はディスっていない。まあ、子供が好きって部分は言ってましたけどね(笑)」
・菊地さん「彼は最後まで世間ではディスられ続けた。道化師みたいになって、本当に死ぬ直前までやられ続けて、死んだ直後に一気にアップセットしたんですね」
・西寺さん「中学の時に、ビートルズ博物館に家族と行った事があるんですね。展示物を順番に見てふむふむと。感動して、ある所にさしかかったら、ジョン&ヨーコの全裸の壁画があって、家族で困りましてね(笑)一家でさいてーだって(笑)」
日本にあるジョンレノンミュージアムはもうすぐ閉鎖でしたっけね?そこの君、今のうちに行きなさい。俺は行かないけどな(笑)



●その17
・菊地さん「まあ、ジョンはそこで引かせたかもしれませんが、キャンプになりましたからね」”キャンプ”=って発音したけど、この意味が不明。なんとなく意味は理解できるのでこのままにしておきます。
・菊地さん「エルビスも、当時どれだけスキャンダラスであったか。彼がデビューしたのは56年でしたっけ?その時代、全米でマクドナルドが出店したり、ディズニーの繁栄、全米にハイウエイが完成したり、公民権運動が盛り上がってきた時代なんですよね。要するに、その時代から今のアメリカを形成して行ったんです」
・菊地さん「プレスリーの映像を見る時に注意して欲しいんですけど、彼はつま先だっているんですよ。でも、当時はそこは問題にならないほど、全身がスキャンダルだったんですね。時代を表しているんです。これってマイケルにも当てはまる話でもありますし、そこでリサマリーの話を出すと、もっとですよ(笑)」



●その18
・西寺さん「これは本にも書きましたけど、ドンキングとの話がありますよね。スリラーが全米で大ヒットした当時は、彼はソロでツアーを、やらなければ行けなかったんです。でも、ジャクソンズのヴィクトリーツアーをするハメになったと」
・西寺さん「家族はそのために、母親まで担ぎ出してきましてね。そこでの宣伝担当がドンキングだった。そこで、キングはマイケルに、こう忠告したんです。”お前は、ニガーの王様になればいい。白人も含めた全体の王様にはなれないぞ。エルビスを見てみろ”って」
・西寺さん「それを聞いたマイケルは激怒したんですね。あまりに屈辱的で怒ってしまったと。即時に彼は降ろされてしまったんですけど。そこからキングって部分に拘る所が出てしまった」
・西寺さん「そこからスイッチが入ってしまった。楽曲版権を買うって行為もそうです。ビートルズの版権もエルビスもそう。偉大な人達の版権を買って、最後はリサを奥さんにする(笑)」
でもさ、live音源だと、ヴィクトリーツアー時のが一番カッコいいですよね。あれがベストですよ。



●その19
・西寺さん「もう、出来なくなったんで分からないのですが、this is itの公演ってのは、実はbadの再評価のためのライブであったのかもしれませんね。オフザウォールは、そんなにやらないつもりだったと。だって、ダーディーダイアナまでするつもりだったんですよ(笑)」ええええ!そうだったの!!うわ、聴きたかったなー。
・西寺さん「スリラーよりも低い評価で下に見られていた。でも、スリラーが売れすぎって面もあるんですけど。今の時代だとフィットしたんじゃないでしょうか。bad自体が特異な作品ですし、それを模倣しようとする人は少なかったですよね」
・西寺さん「当時のツアーで一緒に踊っていたのは、マイケルと同年代でしたよ。でも、this is it時には、20代の子達です。マイケルから見たら子供の世代ですよね。だから、映画で見られるような、あんな反応ってのはマイケル自身が体験してなかったでしょう」
・西寺さん「なんていい映画だったのかと。その中の一つに、彼が唄っていて、ダンサーやスタッフ達(ごく少数)が喜んで見ている瞬間があるんですね。ダンサー達は当時から軽視はしてなかったんです」
・西寺さん「マイケルってのは、あんなに少人数の前では唄ってこなかった。モータウンの初期(ベリー・ゴーディに見せたオーディションをyoutubeで参照)ぐらいですね。あの20人ぐらいの熱狂的なダンサーの前で唄って見せたんですね。あの踊っている若者との青春映画の一面があるんですよね。何故感動するのか?そこに見えるのは、不完全なものではあるんですけど。badやヒストリーツアーとかじゃ、あんな事はしてなかったはずですよ」



●その20
・西寺さん「マイケルってのは映画を作りたかった人なんですよね。まあ、「ムーンウォーカー」ってのがありますけど(笑)、それがこんな形で実現したって事で、あんな生身の姿を見せてくれたんですね」
・菊地さん「映画がヒットしたので、これって、世界ツアーが成功した形にもなりましたよね。もっと言いますと、実際にやった場合よりも収益があったというか」
・西寺さん「悪い言い方になりますけど、「絶対にやらない!」って思ってましたんですよね(笑)彼は徹底した秘密主義でしたので、情報が伝わってこなかった。スタジオコーストの時も、自分は激怒したんですよね。「こんな事をしたら絶対に笑われる!」って。でも、今は見なかった事を後悔しているんですよね(笑)」出た!アゲハの面白すぎるマイケルイベントの話。当時はアレだけ笑わせてもらったから、全然ok!行かなかったけどさ。
・西寺さん「信じられなかったんですよね。当時の周りのスタッフも、うさん臭くて。でも、今回はマックレーンとか戻ってきたんですよね。彼が”経験が多い人を戻したい”って考えたからなんですけどね」
・菊地さん「一時的な評価はごめんと。映画を見て、全然やれてるじゃんって。リハをあれだけやれてるじゃんって世間は思ったはずなんですよね。まだありますよ、事件の事も。クロだと思っていてゴメンって。エルビスが死んだ時もそんな状況になったんですよね」



●その21
・西寺さん「裁判の事を言い続けたのも自分も含めてあんまりいませんでしたよね。で、またジャーメインがしょーもない事を言ってまして(笑)。事件がありましたよね。あれは色々調べた結果、計画的なものだと。”チャンドラーから電話で連絡があった”と」
・西寺さん「で、チャンドラー曰く”ごめんさい。ボクは嘘をついていました。父親から言われてしかたがなくやりました”って。で、自分達も驚いてネットワークで調べたんですよ。そしたら、ジャーメインしかそんな事を言ってないんですね(笑)マイケルの家族も含めて誰も言ってない(笑)」
・西寺さん「自分も長年調べていますけど、そんな事は出来ないんですよね。自分で追いつめられてやったとか。そんな重要な事を”なんとなく”って言うんじゃないよって(笑)」
・西寺さん「マイケルの裁判ってのは、終わっているんですし。99.5%とか言う必要がないですよ、ザッツオールって事で。あの裁判って20億ぐらいの訴訟保険から支払われているんですから。そこで嘘って言ったら何倍もの賠償をしなくてはいけないんですから」
・西寺さん「ジャーメインはそうなんですよね。毎年ジャクソンズの再結成話をしてますし」
あああ、いい話。ジャーメインはだから大好きなんだな。



●その22
・菊地さん「まあ、こうやって、2時間で話せる内容じゃないんですね。で、なんどもいいますけど、来年からが21世紀ですから。モータウンも50周年、ムーンウォークから20年ですよ」
・西寺さん「最近、ライオネルから話を聞いたんですよね。”最近、オレはマイケルが天使だったんじゃないかって思うようになったんだ。今もここにいるのかもしれない”って。あ、あとリッチーは顔がデカイわけじゃないんです。顔が長いだけですから(笑)」
・西寺さん「それで、話を聞いて違う部分が結構分かったんですよね。クインシーの自伝で書かれた事と違っていたり。クインシーですら誤解していたんですよね。リッチーが”オレが誤解を解消してやる”ってぐらい言って下さいまして。今回の映画を観て、オルテガとのやり取りが、いい時のクインシーとの関係に似ていたんです」
・そんな感じで終演。ザッツオール。



●余談1
・菊地ファン層って何段階にも分かれているんですよ。彼氏の筆が好きなヒトはこのイベントがオススメとか。
・マイケルの映画話はこれで済ませる。他人任せがこのブログの基本。自分の意見はそんなもんだ。
・そうそう、cdや本を買うと各人のサインが頂けるとか。でも、松尾さんってそんな促進しなくてもいいんじゃないのか。ミクロな活動をさせるな(笑)
・会場はやっぱりがっちりしてて、窮屈な感じかして嫌だな。Jさん豪さん@高円寺も会場と運営陣が超最悪だったし。



●余談2
・ウエイン町山さんがちょい前のイベントで言ってました。
・”マイケルって基本は芸人なんですよ。本人は分かってやっているんですから。”って。
・MIBやスペースチャンネルのヤツを見てもそうですよね。どんな目で見られているのかも知っていたと。なもんで、最近の聖人扱いにはちょっとなー。
・だから、ムーンウォーカーの再上映はいい仕事なんですわ。「マイケルの映画に感動したなあ。あ、これもやっているだ」的なビギナーにあれを見せつける(笑)
・先日、実際に劇場で観ましたけど、終わった後の反応がステキすぎでした。ポカーン。



●余談3
でもでもでも。しかししかししかし。一番書きたい事はこれ。
「ダンスミュージック好きはマイケル大好きな人しかいない」
まあ、DJで使えなかった人間が言う台詞じゃないなー。



●"Man In The Mirror"@Siedah Garrett

あの日以降でこれが一番泣いた。サイーダ姉御が唄うとそれは正解になる。しかし、曲前のスピーチが的確すぎて困る(笑)。



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以上。