アニスタイベ『スカイ・クロラ』とI.G&押井アニメの作画を語る@ロフトプラスワンに行ってきましたよ。


もはや、どれくらい需要があるのか分かりませんが、最初の煽り文章が三つも思い浮かんだのでそのままup!
「急がないと、急がないと、スカイクロラの公開が終わっちゃうよ!」(フミeg_2)
「だるいよ、だるいよ、こんなに長いと読んでもらえないよ!」(同)
「怖いよ、怖いよ、ベネチアでの菊地凛子の衣装がとっても怖いよ!」(同)
 

第48回アニメスタイルイベント/『スカイ・クロラ』とI.G&押井アニメの作画を語る
次回のアニメスタイルイベントは、作画についてのトークイベント。押井守監督の最新作である『スカイ・クロラ』を中心に、I.G&押井アニメの作画について語ります。メインのゲストは『スカイ・クロラ』のキャラクターデザイナーであり、作画監督西尾鉄也さん。他の出演者については、決まり次第発表します。イベント開催日には、すでに『スカイ・クロラ』は公開中です。個々のシーンについての具体的な話もうかがえると思いますよ。

【出演】西尾鉄也(『スカイ・クロラキャラクターデザイナー作画監督)、黄瀬和哉(アニメーター)、本田雄(アニメーター)、石井朋彦(プロデューサー)、川口徹(ラインプロデューサー)、小黒祐一郎

OPEN18:00 / START19:00
¥600(飲食別)
アニメスタイルイベントでは、基本的に前売チケットは販売していません。開場前に行列ができた場合のみ、開場1時間前に整理券を配布します(多人数になった場合には、配布時間を前倒しすることもあります)。整理券の配布枚数はお1人様1枚とさせていただきます。
http://www.style.fm/as/

最終的にはこんなメンバーに+αでした。
当日会場にて、猛烈にメモってる人や、ノーパソで鬼の様に打ち込んでいる方、テレコなどがどこかに超詳細アップされていると思いますが(メンドイので未検索)、こっちも軽くレポってみまーす。



○なんでレポるの?
・映画が面白かったから。押井監督オカエリナサイ(イは逆)。このレポで一人でも多く動員できることのお手伝いを。ネタバレ満載ですが、リピータ方向をね。裏技使えば1000円ですもん。
・この映画は、劇場で是非音響(スカイウォーカーサウンド?)を聞いて欲しいです。ドーン!でバリバリ!でバシャーン!で飛行機が墜落します。
・なんで面白いと思ったのか?自分の内面に関係してくるので省略。「手応えが全然ないの!」ってことです。
・not 格闘ブログ。



○会場まで。
細田守監督とデジモン絵コンテで作打ちイベ/グレン/トップ2等々、観客動員にエラい差があるため、早めに並ぶ。
・最前列は二時間以上は待っているだろうな。ちょうど階段終わり辺りで風も入っていい所をゲッツ。
・16時過ぎには建物横のコンビニまで列が発生。店員さん達が出社してきて、この状況から16時30分ぐらいには整理券を配布しだす。
・斉藤さんより贈呈。整理番号19でした。そんなにいない。細田回は130番台だったかな?
・「整理券を貰っても時間前に来ないと無効になりまーす!」とのこと。
・んで、開演10分前に会場に。意外とこない人もいるんですわ。なんで?



○開演まで。
・重度の寒がり&冷え性のため、ブルっていると、その動きにツッコんでくれたお隣さん(初対面)と会話がスタート。
・笑ってもらおうと、いろんな話題(主にアニメ方面)をいろいろと。
・「○○監督の新作案が〜」「○○と○○が○○を取り合ってさ」「○○○○の制作費って実は〜」「あの企業の○○が○○で」など。
・「なんでそんなことばっかり知っているんですか?どんな仕事してるんですか?」って聞かれる(笑)
・しかし、世の中の人はエヴァ破が今年か来年始めに公開されると思っているんですね。そこまでピュアじゃない。
・「ブレイブ・ストーリー」と「スチームボーイ」は、どんなネタでもオチに使用可能だ。素晴らしい。
・ちゃんとした話もしたんですけどね。「押井作品はスクリーンを通して説教されるよね」「イノセンス、ソバ、女ソバと三連コンボの後だと、どんな作品でも面白いよね」等々(笑)
・「いっぱい客がいるね。みんな真剣なんだ」「で、整理番号何番でした?」「19。」「あなたも十分真剣ですよ(笑)」とのことで。
・そういえば、庵野監督絵コンテ版綾波レイを描いたような気もするぞ。



※注意!!!
超適当に区切ります。 誰が発言したかは極力書きますが、不明のときは??で。発言メモもフワフワなんで注意して下さい。・の下段で「」なしが自分のツッコミ。
「」内も正確な発言ではありません。なもんで、怒るのはこちらにお願いします。



○その1  
・開演前にロフト斉藤さんが前説。「大体3時間になります。超満員ぎゅうぎゅうなので気分が悪くなった方はすぐに〜」「今回のイベントは最低料金設定です。是非注文を」「出演者にサイン等は御遠慮しています」
まあ、そうでしょう。okだったら本田さんに「伊吹マヤ描いて下さい!!」ぐらい言いたいもの(笑)。
・開演。小黒さん(ウナギ犬tシャツ)登場。小黒「すごい人がいるね。前にやったR監督の時はタイミングが悪くて○○人で〜」
会場どよめく。だったRさんですよ。一部がスカイクロラとIG作品で、二部がスカイクロラそのもの、三部がお客さんからの質問とのこと。
・ゲスト陣登場。西尾さん、黄瀬さん、本田さん、石井さんの順で着席。
わわわ。本物ですよ。アニメに疎い人もあの作画やこの作画と言えば「ああ!」って言うはず。要検索!
・石井さんが、超かっこいい。業界内でも人気があるんじゃないのかな?
・各人の自己紹介。石井さんはジブリからIGへ移籍組だそう。だから今回は鈴木Pっぽいけどなんか違うんですか。
・本田さん「千年女優以来です」
・石井さん「押井は、今頃は熱海でドラクエをやっていることでしょう(笑)」「押井監督はイノセンスで疲れきって、でも最近は空手を習ってマイナス11キロ。元気で〜」「愛犬も死んでしまって〜スカイは若い人に向けて、作ろうとして〜」
ここで、空手流派を言って欲しかった。”熱海”/”空手”などで検索したけど確定できない。大道塾であって欲しい!



○その2
・西尾さん「次回作は作画的アニメを作るぞ!ってのがあって、空はCGで雲から下の世界はじっくり作画!って当初はやろうとして」
・黄瀬さん「西尾は今がピークだ!」(西尾「ムカつくな〜(笑)」)ってのがあって、今回は参加して」「イノセンスの時はヤル気がなかったんだよ!」「押井監督から「止めはなくていい!!」とか指示があって、今回は止めはないように〜」
しかし、今夜は黄瀬さんが全ての笑いを持っていった。押井監督とは数十年のコンビだしIGの取締役だしキツいことなんでも言える無敵キャラです。
止めないとか、無駄に意地はらんでもいいじゃん。
・西尾さん「イノセンスノベルティでトランプがあったんですが、その共通の裏面の絵を任されると思ったけど、ダメで。全部鈴木Pのせい(笑)」
「うんざりなんですよ。心いくまで書きたかったから。黄瀬さんはイノセンスのジャケをやったし、井上さんは〜」等々
念願叶って良かったですね。でも今回は死線に這うまで描いたのでしょうが。
・西尾さん「今回はゴンゾのチームやいろいろ新規で入って、押井作品を経験していない人が半分以上いまして、」
「今回の作監修正をしていない人は2人!中にはアレ?って人もいましたが(笑)」
昔の岡田さんの連載でもありましたね。”上手い人にはもれなくダメな人間が付いてくる”/”そのダメな人ほど自己主張が強くて文句ばかり”とか。そんなもんなんでしょうか。



○その3
・西尾さん「ボーリングのシーンは本田さんで、クライマックスの愁嘆場もそう」
・本田さん「ボーリングのシーンは突き詰め方が足りなかったのかも。でもボーリングピンは手書き!車も!!3Dにすればいいのに(笑)」
あそこはいいシーンでしたね。最後に泣くんだと。エンドクレジットで本田師匠を発見して、ここかなってところがバッチリ該当。
車は3Dにすると、地面を滑るようになって違和感がありますもんね。(っつーか後々監督も同様のこと言ってましたが)
・本田さん「後半が辛くてさ、カラーの社員旅行も行けなくて、泣いているシーンを描きながら泣いていて(笑)時間がない!っと」
これです。どーでもいい情報(カラー社員旅行)をゲット出来て幸せだ。
・西尾さん「一番動いている所を師匠に。監督OK、作監OKなのに描き直しているし(笑)」本田さん「いや、水素の歩き方が若干早くてさ」
師匠=本田さんのニックネームですね。でもOK直すと収集つかなくなりません?
・西尾さん「師匠はなんでも出来るオールマイティな人で、作監、メカ、エフェクト、美少女、人物も可能で」「俺が千年女優をやった見返りにイノセンスをやってもらって。だって銃の乱射なんて誰もとらないよ」
師匠はやっぱ神ですわ。eva序も本田さんと長谷川さんはいるのか?ってのが自分の隠れたテーマでしたもの。カムバック長谷川!
・小黒さん「ああ、組長のシワが突然変わるシーンですね(イノセンス)」
そこで、即そんな回答するアニメ様(笑)。



○その4
・西尾さん「黄瀬はエロいシーン担当。風子の所とかボーリング終わりの車の中のシーンとか。殆ど修正なし!ベットはちょっと直したけど」
・黄瀬さん「今回はしんどかった!20年付き合って、押井さんが変わっていないことが分かった(笑)」「ツライというかキツい。求めているものをやろうとすると、自分を押さえなくてはいけないし」「ここやってと言われているのに引き上げられるのが〜」
・西尾さん「でもイノセンス作監のパート(?)が一番多かったじゃない。押井監督も「エロいシーンは黄瀬!!」って(笑)」
そうだ、監督いいこと言った。エロいシーンは黄瀬!
・黄瀬「イノセンスもいまだに見ていないや」
・西尾さん「スタンドアローンや2NDGIG(攻殻)もレイアウトまで上げて逃げたよね(笑)」
・黄瀬さん「パト/パト2は初号以外では見ていない!自分が作家すると見ない!」(スカイクロラも今後見る事はない?)「ないですねえ」
会場爆笑。ここまで来ると清いです。そんな人もいますよね。
・西尾さん「そういえば、全然見ていないよね、精霊とかコイルぐらいだし」
・西尾さん(なんで本田さんが師匠なのかについて)「本田さんは名前を出してはいないけど、ご先祖の#5のBパートをやってもらっていて、その時に岸田さんが本田=師匠と呼ぶようになったんですが。で、今回は押井監督まで「師匠!師匠!」って言うようになってさ、さらに「師匠、師匠って名前なんだっけ」って(笑)」
このイベントの直前にイノセンスを借りて見よう(2回目)としましたが、手が動かなかった(笑)。見ないで返すレンタル。



○その5
・小黒さん「劇場版パトレイバーパトレイバー2の絵コンテって上手くないじゃない?だからけっこう変換して描いていたのですか?」
・黄瀬さん「その前のOVAシリーズ、三本やったんですが、「やりたいようにやれ!」って言われてやりたいようにやったら怒られまして(笑)」
だから、あんなにヘンテコになったのか。当時はレンタル一泊二日で450円くらいの30分。小学生にはそれはそれは大変なことで。
・黄瀬さん「押井さんってパトは売れると思ってなかったんですよね。「なんでこんなにアクションを入れなきゃならないんだ!」って、いや、描くのは俺だ(笑)」
・黄瀬さん「で、「なんで、皆の描くパトはみんながに股なんだ!」って、いや、あなたの絵コンテががに股なんだよ(笑)」
・小黒さん「押井さんってがに股じゃないと、歩いている/走っているの表現が出来ないんですよね。」
っと、言われてみて、絵コンテ見たら本当にがに股で(笑)。でも愛嬌があっていい絵なんですが。庵野さんの絵コンテよりお気に入りです。
・黄瀬さん「パト2は5/6やり直しで、つまんないよー。パト1が一番面白かったかも。上京して一発目だったし」
・小黒さん「押井さんの作る作品には、シンパシーを感じない?」黄瀬さん「全然感じない!!!!」
・黄瀬さん「イノセンス、あれはバトーの妄想。それだけを描けばいいのに、ごちゃごちゃやるから眠くなるんだよ!!』「本当にビューティフル〜から押井さんは変わっていなんですよ」
ぶはははははは!会場も大笑いだ。内部はそうなんだ。
・黄瀬さん「で、○○は○○で○○だし、○○○○○○○○!!(以下略)」
うわ〜面白れえ!小黒さんが「ブログに書くな!」と叫ぶし(笑)さすがIG取締役。
・黄瀬さん「でも、evaは好きですよ。あのどこに向かうのか解らない感じが(笑)」
2008年の年末になろうとしているのに、いまだにどうなるのか解りません。



○その7
・西尾さん「その話で言えば、初号の効果音合わせの時、押井さんはグーグー寝ているんだけど、水素の銃を持った手がフレームから外れてハンガーを”カチ”ってするシーンがあるんですが、そこで押井監督が突然ムク!って起き上がって「これは黄瀬の罠だ!カッチって音を入れ忘れさせて、初号で文句を言うつもりだ!」って言い始めて(笑)」
・黄瀬さん「いや、絵コンテでハンガーを画面外でやるって描いていたじゃん!」
・西尾さん「で、押井監督が話していたけど、ジブリの試写室で黄瀬と一緒に”千と千尋の神隠し”を見て、終わって喫煙所で「あれ、押井さんには作れませんね」って言われて、無言で返せなくてって(笑)」黄瀬さん「未だに、そのこと言っているんだ(笑)」



○その8
・西尾さん「押井さんって、アニメーターの名前を基本的に覚えないんですね。イノセンスで本田さんに助けてもらったのに、今回の作打ちで「はじめまして!」って(笑)」
ここで、本田さんはIGは敷居が高いとか、顔の演技は俺の仕事じゃない(!!)っとか、今監督の現場の話がありました。今監督のリクエストを実行できる人間は少ないから、結果的に少数精鋭になっていくんだと。結構興味深いです。
今監督は、漫画家の面もあるから、今監督曰く「アニメーターは漫画家ほど、〆切に危機感がないよね」って話も。聞きましたか?庵野監督?
・西尾さん「本田師匠はスカイクロラでは引き上げがなかった。ボーリングのシーンもやってもらって〜」
・本田さん「原画が描いていて、一番楽しいから」
おお!神様!
・石井さん「ポニョで宮崎さんが、本田さんのことを絶賛してまして、「コナン以来だ。こんなアニメーターがまだいたなんて!」って。」
バンザイのシーンとかポニョ自身とか11カットだそう。どこだっけ?ポニョはもう見ることがないから(笑)、確認できない。
・西尾さん「だから、ナルトやれって!」本田師匠「止めならやるよ」西尾さん「止めなんてないよ!」
ここら辺のアニメーター会話がいいですね。
・西尾さん「スカイクロラは5万枚だけど、CGカットを抜いて、それって凄くない?」
・本田師匠「eva序は3万!ダミーを含めて3万だよ(笑)」
・西尾さん「で、ナルトのラスボスの原画が、止めでもEセルまであるんだよ!」「一週間で二万枚!二ヶ月で七万枚!!さすがぴえろ!!!」
うおおおお。七万!
でも実際には、作画枚数や重ねをアレコレしても、観客側は関係ないんですよね。気付かないことも多々ありますし(笑)。



○その9
・西尾さん「スカイクロラではいろんな宣伝とか、地方イベントに参加させて頂いたんですが、作画監督が来てもみんなイマイチピンと来ていないのが分かるんだよね(笑)向こうもイマイチ扱いが分かったいなくて」「で、質問された台詞が「いや〜宇宙船(CG)が凄かったですねえ」とか(笑)」
・西尾さん「今回の映画は、CGは、水や雲。セルより上。でも、そうじゃなくなったですけどね」
・本田師匠「実は飛行機を描いた事ないんだよね。メカを破綻なく動かせるには〜」
ありゃ?そうでしたか。言われてみれば、、、
・黄瀬さん「言われたのが、飛行機のシーンでの敵味方が分かり難いって。そちゃ作っているときもそうだけどね」
そこで、絵コンテの宣伝をするべきですよ、小黒さん。自分もそれ読んでやっと展開掴めたもの。
ここら辺で20:20頃。少しの休憩を入れて第二部だそう。今レポを見て、石井さんの発言がもっとあったような。西尾さん部分のいくつかがそうかも(笑)。



○その10
壇上は、西尾さん、川口さん、石井さん。石井さん曰く、川口さんは日本一のラインプロデューサーだそうです。若くてかっこいいです。
・西尾さん「IGってのは外側から見ると、押井監督が皇帝のように君臨しているってイメージじゃないし、今回のスカイチームは柔軟に〜」
いや、嘘でも皇帝って言ってもらわないと、面白くないよ〜。「ハウルの企画を最初の人が投げ出したから、俺が受け取った」とか言っている監督を見て下さい(笑)
・川口さん「イノセンスから、スカイもそうだけど、脚本が押井さんでないから、コンテ見ても面白い」「イノセンスの時は、コンテを見た時に面白かったけど、話が。。。。これはクオリティUPに賭けるしか!」
客側も爆笑。みんな失礼だ。
・黄瀬さん(?)「イノセンスって、人間と人形は同じである、同じじゃんって、そう思っている人は5%しかいないよ!スタッフもそうかって思ってもらうと困るし。でも、そのイノセンスを宮さんが気に入っているって(笑)」



○その11
・西尾さん「今回の作画のコンセプトが、イノセンスと違ってちゃんと動かすってことで。押井キャラの前提を変えるってことで、もうハードリアルは飽きた!って。でも、そういうの辞めたら返ってハードルが上がるんだけど(笑)」「人狼とも違った、でも人狼も実は線は少ないけど、アレは木村さんだけど。まあ、木村さんに抵抗出来る人はいないけどね」
・西尾さん「でも、軽やかに動くってのも作品が求めていない。ただ、押井さんがダメ出ししたのが、水素のおかっぱ」黄瀬さん「あれは、もうショートに飽きたってことで」
・西尾さん「止まっているように動かすってことなんだけど、原画さんはちょっとずつズラせばいいんだけど、止まっているように動かすってことなんで、動画さんが悲鳴を上げるってことなんだけど(笑)「なんでここが2カットじゃないんですか!」って」
・西尾さん「作監補が今回いなかいのは、上手い人を振り分けたからであって、総作監作監作監補/(本田さんが)エヴァ作監〜」
・石井さん「じゃなくて一人でやりきった!」
会場拍手。ここでこれが出るから、石井さんはそんな立場になれるんですよね。



○その12
ここで、石井さんから、秘蔵映像上映。レイアウト/仮CG/原画/絵コンテが組合わさったスカイクロラの仮仮verをビジョンに。
本編と同じ流れだけど、cgが軽かったり、レイアウトになったり、原画だけど西尾修正なしとか、突然押井絵コンテになるとか(笑)あって、大変に興味深いでした。石井さん「公開中にこれ出していいのかな(笑)」小黒さんが「これdvdの特典に入れようよ」とか言ってました。「考えます」とのこと。
・石井さん「この作りかけのヤツは、音響スタッフが最後に入れる時に使用したり、制作委員会ってのに「ここまで出来てる」って提出するものだったりします」
エラいさんが石井担当で、川口が現場で使用したとか。
・小黒さん「あ。新聞の折り方が!」黄瀬さん?「これは絵コンテどうりで」石井さん「絵コンテを見ると、アニメーターの偉大さが分かる」
・西尾さん「ここら辺は本編と同じっぽいかな。絵コンテは見ても面白くないし。ここの飛行機が回転している所にキャラの部分に影を入れたかったんだけど」「CGの時点でキャラはいますけど、後で上からキャラを描いたから〜」
ここら辺は原画でなくレイアウトだ。って指定とか、ここだけ顔が違う!(作監修正前)とか、ほら乗り物は全部作画とか。
・西尾さん「(水素を担いで行くシーンで)ここは荒井さんのデッサン力がないと、出来なかった所で」
・西尾さん「(スタッフ確保で)2005年から、アニメーターに声をかけて、井上さんは一年以上粘って粘って、飲み屋で取囲んで、返さないって(笑)」



○その13
ここで、橋本敬史氏が、シークレットでゲストに登場。ポニョ/スカイ/ナルト/エヴァ/ブリーチと制覇したことを宣言(笑)
・小黒さん「エフェクト作監にあったけど、そこはどうなっているんですか?3Dの中に入っているけど〜」
・石井さん「SFエフェクト担当で、飛びちったプロペラとか、残った破片を上から描いたのが橋本さんで、血吹雪とかもそう」
・橋本さん「誰も作画しているって、思ってくれていない(笑)」
・黄瀬さん「タバコのシーンの煙の表現が、押井監督が好きじゃなかったみたいで〜」西尾さん「俺のシーンじゃん(笑)」
・橋本さん「XY軸で一秒間にどれくらい、飛び散るとか大体教えてくれれば分かるから〜」「一秒で24コマ。3秒〜4秒区切りで、カメラの揺れコミで、そこでワザと起動をズラして書き込みを入れて〜」「エフェクトならば、目を瞑っても描けるんだけどね」
だーー、書けない!ここから、橋本さんの仕事レベルの説明。驚愕すぎて理解不能。後ろ辺りの現場関係者達が声を上げていました(笑)
・黄瀬さん「海外のスタッフがスカイを見た時に、明らかに普段のCGとは違うのが分かるから、「なんで?」とか質問される」
・石井さん「ハウルの、後半の城が崩れるシーンも、橋本さんです」
・橋本さん「ある程度、CGが上がってからでないと、描き出しができないんですよね」石井さん「反対に作画だど、機銃が撃たれるシーンをやりましたね。押井さんの信頼が絶大で」
・西尾さん「最初の約束で、地上は3Dを使わない。でもカメラターンが全部3D。オルゴールも3D。ビンも3D。全カットの半分が3D。それを最初に言ってくれれば、ちゃんとやれたのに(笑)」
・川口さん「最後の二ヶ月間、西尾さんが泊まり込みで、どの作品でもそうなんですが、粘って頑張って描いてくれた〜」等々、いい台詞で二部終了。



○その14
ここら辺で、21:10頃。ステージは西尾さん、黄瀬さん、本田師匠、石井さん、川口さん。
・小黒さん「今日はいっぱい入っていますね。はいアニメ関係者の人?(10人ぐらい)。専門学生の人?(意外と多い)スカイクロラだから興味を持った人?(確認とれず)アニメスタイルだから来た人?(未確認)」などなど。質問タイムスタート。
Q「作中のバセットハウンドの表現について」
・黄瀬さん「バセット以外だったらやる。机の上にそのシーンがずーと残っているんだけど(笑)やらなきゃいけないのが終わればやるけど。押井さんが「息抜きでやれ」って」
ここで作画振り分けの話に。
・西尾さん「ゲンドウとか描きたいにやりたい。evaで描けるのはゲンドウと冬月ぐらいだし」
・本田師匠「ゲンドウや冬月は人気あるんだよ」「次の絵コンテを貰っているけど(!)、どれもツライやね」
・黄瀬さん「押井監督作品の次をって言われたらやらない!これが本当に最後って言われれば死に水をとろう!」
会場爆笑。長年一緒に居たから出来る関係性だと思います。こーゆーのはいいですよね。
・西尾さん「アニメーター不足が呼ばれていたけど、どんなに気を使って終わらせたか!押井監督は早く終わらせたいタイプだし。押井監督が「ガンバラなくてもいいから、終わらせろ!山を作っちゃダメ。」と」
なんか、どんなお仕事にも言えるのかな?まあ、そうなれば全部いいんですけどね。
氷川さん(ロトさん)が”どんなプロジェクトも基本的には泥舟です。そこに乗ったのであれば、あなたの仕事は文句を言うことでなく、水をかき出すとか、向こう岸につくように進めるかです。そこでなんか言うのは〜”って書いていたのを思い出しました。



○その15
・西尾さん「意外となんですが、押井作品にはアニメーターには人気がない。攻殻で懲りたとか/アニメーターをそもそも信用していないとか」「西尾さんの作品だから関わるって言ってくれる人がいるんだけど」
Q「宇都宮さんのパートはどこ?」
・西尾さん「かわいそうなんかじゃない!ってところです」
Q「片手でマッチをするシーンは実際にやりましたか?」
・西尾さん「ちゃんとロケハンしました」
Q「思い入れのあるシーンは?」
・西尾さん「思い入れのあるシーンってのはない。誰がどこをやっても作画を見せるシーンはない。誰がどこをやっても一緒だなあって絵コンテを見た時に思ったもの」
Q「ティーチャーのキャラデザってのはありましたか?」
・西尾さん「これは特に言われたんですが、押井さんから「描くな!」「冗談でも描くな!」って。劇場版パトレイバー1でアニメ雑誌にキャラ表が付いていて、そこに帆場暎一があったことが、大変に残念だったことがあって」
これはなるほどです。でも、その後にサンデーで出したのはなんだ?嫌がらせか(笑)。



○その16
Q「土岐野のキャラデザが声優に似ているけど」
・西尾さん「土岐野は声優が決まる前から」
・石井さん「水素の不安定な所が面白いよね。シーン毎に違っている。函南も区切ってやっていく内に意識的にそうした」「榊原さんも、おばさん/母親/仕事で分けてくれて〜」「主人公は変化なして、ワザとそうしたんですが。監督も「おさえろ」っと」
「風子のベットシーンも明らかに表情が違っていて、「ここは変えなきゃいけないのですか?」って聞いてきて。そう見えるのかと」
・小黒さん「水素の歩くシーンは骨盤しか動いていないよね」西尾さん「意図的であったとしても、それの修正って大変だから(笑)」
・そこで石井さん「押井監督が「彼女はコンパスの様に歩く」っと言われましたよね」
なーんか、みんな動きが歪なんだよなあ。そこはそうなのか。



○その17
Q「長期に渡る制作になった場合に、映画の内容が暗いとモチベーションを保つのが大変だと思いますが、その場合にどうしていますか?」
・西尾さん「うーん、あんまり暗いとかは〜」黄瀬「俺に聞くな(笑)」
・西尾さん「暗いとか明るいとか関係ないよね。やる立場としては、監督が変な事を言う方が。あと2ミリずらせって、そこになんの意味が(笑)」
・Q「神様が「セルの時代に戻してあげる」って言ってきたら、戻ります?」
・黄瀬「戻んない!!!今の時代は楽は楽ですし。どこでどこを書き込むとか頭をつかうし、振り分けが出来なくなるし」
ここで西尾さんが、セルの止め金具の上と下で違うと、それに慣れるのに苦労するとかのお話を
・本田師匠「本来は、書きたくないものをCGにするもんだしね」
・西尾さん「でも、デジタルだと金がかかるんだよね」「あ、でもデジタルになったので、カット袋が少なくなってるし(女性でも大丈夫と川口さん)、現場的に悪いことがないよね。そんなにデジタル化に対して、危機感がないよ」

※この17の質問は自分でした。暗い云々は、人狼を劇場で見た時に「アニメでここまで救いがないのはどうなんだろう?スタッフの心境は?」とか疑問に思った所からが、疑問のスタートでした。実際に作業する側は手を動かすから、そうじゃないですよね。でも、ゴールで恋人を撃つ映画ってのは。
セル云々は、庵野監督が「もうデジタル以前には戻れない」って言っていた所から。本当の現場レベルはどないなのか?
頑固になる人ってのもひょっとしたら、いるんじゃないのかな?ってのもありましたし。でも、デジタルの恩恵はマンガ/アニメ/音楽/等々なんでもありますよね。



○その18
・西尾さん「IGも若いアニメーターが育ってきているんだよね。これって押井さんが気付いていないだけで。二十代に才能がないってのは、言い過ぎなんだよね。だから若い人が押井さんを好きじゃなかったりするし(笑)」石井さん「重い絵柄を要求されるしね」
・西尾さん「でもさ、30代であんなに怒られたくないよね(爆笑)」(nhkでのポニョ現場密着での一コマを指して)
・黄瀬さん「でも、宮さんにあんだけ怒られるのは、勲章でもあるんだよっと。描けるのにか描けないから怒られる。でもそれをtvに撮影されたくないよね(笑)モザイクもなしで」
・石井さん?「その反面、押井さんは怒らない人ですよね」
・黄瀬さん「え!?、激怒したよ。怒られたよ。「アニメーターとして信用していない」とまでさ。さらに「これ以上やったら、人間として信用できなくなる!」ってところまで」
・黄瀬さん「そこで、「別にかまいませんよー」って返したけど(笑)本気では言ってないけどさ」「ヨボヨボになって死にかけた状態で絵コンテ描いたらやるよ。だって押井さんの撮監やりたくないよー」
・石井さん?川口さん?「押井さんの愛犬のガルが亡くなって、一週間忌引きになって。エンドクレジットにガルをいれますか?って聞いたら、30秒ぐらい考えて、”止めとくよー”って」「まあ、天寿だったので、事前の心構えが出来ていたけど」
ペットロスですか。一週間いなくなりましたか。押井さんらしいな。



○その19
ここで、各監督の年齢の話題。押井さん57才、宮さん67才、そして庵野さん50才。庵野さん若いよねって話を。え?
Q「作中でのタバコの表現について」
・西尾さん「ダメだと分かっていても欲しい。その絵のためには、矛盾することもやるんだと」
・西尾さん「人狼は写実的だったでしょ。それに対してスカイクロラはどっちかというと、マンガ寄りにしたんですよ」「人狼は線を多めに描いて、そこから引いて行く」「で、そこで女性キャラをかわいく描くポイントが〜」
・小黒さん「ここに専門家が!」本田師匠「今はメカ作監!」
いやいやいや。本田さんは女性キャラを描かないと。めっちゃスタイルのいい初号機(ヤシマ作戦の寝そべり姿)ばかりじゃダメですよー。



○その20
で、ここで女性キャラ描き方についての話になり、
・黄瀬さん「それが、描き手の妄想になる。これがどんなにいやらしい女であるのかを考えて。色っぽく描きたい!女性にたいする妄想が、手を伝わって出てくるような(笑)」(さわやかに描けないの?)「描けません!!!」
ぶははは。それぐらいでないと、あのレベルはダメなんだと(笑)。勉強になるわ。
・西尾さん「自分の理想の女性を描いているわけじゃないしなー。自分のリビドーを作品に描かない。実は今回は途方にくれて、黄瀬さんが来てくれて助かったと」
・黄瀬「今後はなんか、”くノ一忍風帳”とか描きたい!!」
あの、いや、だから(笑)
・本田師匠「そこは別なんじゃない。健康的な可愛さは描けるけど。やらしいのは描けないよね」(黄瀬さんが艶かしいのは描いているじゃんっと)「いや、自分じゃ、それは分からない。これでいい感じかなってなると、つまんなくなる」



○その21
ここで、仕事のやり方等々のお話で、
・西尾さん「この人(黄瀬さん)はブラット+で二週間でクリアしたからね」
・黄瀬さん「2CHでさ、”俺は黄瀬のせいで会社を辞めたんだ!”って書いてあって、誰だ(笑)」「エヴァミサトさんを担当した時に、庵野監督に”ミサトさんのあの疲れた感じがいいよ!”って言われたよ。」「リツコが描きたいね。いいよ女満載で。」
ここら辺で、とうでもよくなったので、メモストップ(笑)



○その22 あとは簡略。
1.この後、エンドトークにて、各出演者のコメントがありました。西尾さんのコメントが感動的で、本人も泣きそうだったとか?
2.サイン入りポスター争奪ジャンケンタイム。こーゆーのは負けるもんです。でも、本田師匠の右手とジャンケンが出来たってのが、腐れマニア的にはいい思い出になりました。あの絵やこの絵を描いた手です。
3.本田師匠の脇毛が薄いとかの話題が。
4.石井さんが、「入場者が150%?アップで、ありがとうございます」とか、「押井も次回作に入っています」って発言があ!
5.本田師匠が今後の仕事の話題を。「eva破もやっています。来年中には出るかと思います(笑)」とのこと!なんか笑い話レベルになってますよ〜。



○参考文献

スカイ・クロラ-The Sky Crawlers-絵コンテ―ANIMESTYLE ARCHIVE

スカイ・クロラ-The Sky Crawlers-絵コンテ―ANIMESTYLE ARCHIVE

押井守監督作品スカイ・クロラ総設定資料

押井守監督作品スカイ・クロラ総設定資料

なーんか、沢山あるけど、この二冊と&公式HPの西尾さんマンガで大体いいんじゃないのか。
絵コンテは空中戦の展開が分かる(笑)し、マンガって視点で見ちゃっても面白いと思う。
後半の押井監督三万文字インタビューは「人としてどうか?」って疑問もあるけど、面白いよー。押井監督にとっての映画とはなんのかってところまで踏み込んでいますし。

総設定資料は、背景フェチにはたまりません。勿論メカフェチにも。みんな絵が上手いよ(適当)



○絵コンテより抜粋(超ネタバレ危険!)

函南優一「”ティーチャー”を撃墜すれば、何かが変わる?」
草薙水素「え?」
優一「運命とか、、、限界みたいないものが」
草薙「、、、そうね。でも彼は誰にも墜せない」
優一「なぜ?」


答えない水素


正面アングル


ここからインタビュー風の展開になります


草薙「私たち、どこの誰と戦っていると思う?」
優一「さあ、考えたこともない」
草薙「殺し合いをしているのに?」
優一「仕事だよ、、、どんなビジネスだって同じことさ。相手を押しのけて利益をあげた方が勝ちなんだ。
普通の企業に比べたら、僕たちがやっていることなんて、非効率的で懐古的なゲームに過ぎない」
草薙「そう。ゲームだから合法的に殺すことも、殺されることもできる」
優一「面白い発想だね」
草薙「面白い?」


ゆっくり向き直ってーーーーーーーー


※台詞内容、一考


草薙「
戦争は、どんな時代でも完全に消滅したことはない。それは、人間にとって、その現実が重要だったから。
同じ時代に、いまもどこかで誰かが戦っている、という現実感が、人間社会のシステムに不可欠な要素だから。
そして、それは絶対に嘘では作れない。戦争がどんなものなのか、歴史の教科書に載っている昔話だけでは不充分なのよ。
本当に死んでいく人間がいて、それが報道されて、その悲惨さを見せつけなければ、平和を維持していけない、
平和の意味さえ認識できなくなる、、、空の上で殺し合いをしなければ生きていることを実感できない私たちのようにね


優一 off「、、、、、、」
草薙「、、、そして私たちの戦争が決して終わってはならないゲームである以上、そこにはルールが必要になる、、、例えば、絶対に勝てない敵の存在」
優一 off「それが”ティーチャー”?」


同意の間が流れます


※注 以下略。やっぱりここが一番「オカエリナサイ(イは逆)」って思った瞬間だ。ああ、押井映画を見に来たなあ(笑)って。



○当日の看板



以上。